往古来今

モノクロの街

気が付くと、葛西駅の改札機にPASMOを翳す自分が居た。
快速電車の通過待ち時間を有意義に使うべく、
今日もこの街に足を踏み入れることにした。
 
師走の葛西駅は相変わらず仕事帰りの人でごった返しているが、
いつものスロ屋へ向かう方角だけは、何故か人が疎らだった。
さぁ、今日はどんな展開が俺を待っているのだろうか・・・。
いや、展開が俺を待っているのではなく、
俺様が展開を作り上げるってもんだろ?
趣向を変え、今日は奥から攻めてみよう。
 
ホップ店。
店に入るや否や、強烈な違和感を感じる。
昨日とは打って変わって、非常に稼動が少ないのである。
イベ的には昨日と一緒な筈なのに、どうしてなのだろうか?
店内を一周してみたところで、ある程度見当が付いた。
各々の機種には1台づつ出ている台のみが稼動しており、
それ以外の台は無稼働。
おまけに、店の隅っこで読書に勤しむ大勢の小僧達・・・。
そう。綺麗に仕上がっていたのである。
リング、エヴァ、ハーレム・・・。
ここの客は全員プロか?
まるで、夢でも見ている様な光景だった。
映画のタイトルではないが、正にパーフェクトワールド
ここまで極端な景色は今まで見たことがない・・・。
いや、ある。
古の西日暮里、ランボー
そうだ、あの店の景色と一緒だ。
言葉を替えて言えば、場末のスロット屋。
だが、今のご時世となっては話がちょっと違う。
そのスロ屋一店が場末なのではなく、スロット業界全体が場末なのである。
察するに、凌ぎで打ってる奴等の行く末は、こんな殺風景な日常なのであろう。
 
シェイク&ハーレム。
3K使って2時間程遊ばせてもらい、夢から覚めるように葛西駅へと向かう。
 
駅のホームに着くと、そこには快速通過待ちの電車が止まっていた。
時計の針は、さっき電車を降りた時と何故か同じ時刻を指していた。
それは嘘さ・・・。